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私にとっての具象彫刻、絵画との出会い
小泉正彦
油絵を描き始めて45年の歳月が流れました。
初めの頃はピカソやブラックと言った画家が好きになりキュービスム風の絵を描いていましたが、18歳になるころミレーやコローと言った17~8世紀の画家の作品に関心が芽生えて、近所にスケッチに出歩くようになり、あちこちの風景や静物を鉛筆でデッサンするようになりました。
ミレーのように描きたかったのですがとてもとても真似できませんでした。
自分なりにクロッキーのようなことばかり致しておりました。
送られてくる芸大合格者の石膏デッサンの複製に驚きを感じたのもこの頃です。
どうしたらこんなに量感の感じるデッサンが描けるようになるのか17歳の私には解りませんでした。
私は写実絵画を描くにはどうしてもその専門の学校へ行きデッサンを1から学びなおす必要に迫られました。
お茶の水美術学院で石膏デッサンを学んだ後、佐藤忠良の教える東京造形大学彫刻科1本に絞り込み受験を致しました。幸いにして運よく合格して4年間、そこで粘土とデッサンの学習に取り組みました。
この体験は私にとってかけがえのない財産となりました。写実絵画や彫刻の基本をここで不十分ながら1つ踏みしめることができたのです。
そしてそこから具象絵画、具象彫刻という私の道筋が明確になったのもこの頃からだと思います。それから約37年ロダンやコローと言った画家に目標を常に置きながらひたすらデッサンをして、粘土で彫塑をして油絵を描くといった日常がスタートいたしました。
私はクリスチャンでもありますので信仰生活を同時に続けながら朝は妻とバイブルを読み1日の祝福を主に祈り制作活動を始めるように致しております。
私も60歳の声を聴く頃となりました学習のおさらいとして昨年フィレンチェ2週間ほど滞在してそこからベネチア、トスカーナのチェルタッドなどを電車と徒歩での旅を致しました。トスカーナの広大な田園風景の中を一人で歩いていて60歳にしてやっと西洋の絵画や彫刻の奥深さが少し解りかけた自分がいるなと感じました。
平成27年 5月27日
1955年神奈川県平塚市に生まれる1978年東京造形大学造系学部美術学科彫刻専攻卒業1983年第18回神奈川県美術展にて大賞を受賞1984年オーストラリア美術賞展銅賞受賞1992年日仏現代美術展にて日本テレビ奨励賞受賞 9日間の女王(すぐ書房出版)の表紙絵担当
2014年 現在現代具象彫刻研究所設立